正倉院寶物の螺鈿技法に関する知見について

正倉院寶物の螺鈿技法に関する知見について

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1、正倉院寶物の螺鈿技法に関する知見について北村昭斎1.はじめに螺鈿紫檀五絃琵琶の模造を作製するにあたり、事前調(diào)査の一環(huán)として正倉院の螺鈿を用いた寶物について実見する機會を得た。その時に知見した事項を、螺鈿技法を用いて作品を作る製作者としての視點から主要品目について報告し、技法上の私見も併せて記す。なお、正倉院寶物の螺鈿については様々な報告があるが、とくに正倉院寶物特別調(diào)査「螺鈿?貝殻」材質(zhì)調(diào)査(平成4年、5年)に參加した荒川浩和氏の論考(荒川浩和1998)が參考となった。2.平螺鈿2.1平螺鈿の寶物(1)南倉70円鏡平螺鈿背第2號(挿図1)細(xì)い劃線で切り抜いた貝の中に、琥珀を埋めて花芯とし

2、、花弁にも琥珀を埋めて放射狀に構(gòu)成し、全體を飾る。夜光貝の螺鈿文様が內(nèi)側(cè)の琥珀の存在を効果的に引き立たせている。琥珀は暗色の舊物に対し、外區(qū)の大花文に見られる明るい色の琥珀は後補である。螺鈿には良質(zhì)の夜光貝が用いられており、6個の大花文の花芯には6×4の、かなり大きな一枚の貝が用いられている。文様の組み合わせ部分も丁寧に挿図1南倉70円鏡平螺鈿背第2號切られていて大きな隙間は無い。鏡の縁のごく際に見られる巻蔓狀の文様は、小さ過ぎて切り離し難い為か、大きな葉と連続させて切っている(挿図2)。葉文の重なりや二股に分かれている莖と葉の文様は、1枚の貝で切り抜いており、毛彫線によって細(xì)かい文

3、様を表している。主な毛彫線には黒色顔料を埋めるが、鈕の五弁花文は素彫りである。外區(qū)の大花文の花弁と蕾文や(挿図3)、內(nèi)區(qū)の連珠文には毛彫線に黒色顔挿図2同部分(1)料を埋めた後に、素彫の毛彫が施されている所がある。間地を埋める玉石には、1~3のトルコ石の砕石のみが使われている。(2)南倉70円鏡平螺鈿背第5號(挿図4)鈕には花芯に琥珀を置く六弁花文と側(cè)面花文を配し、鈕座には右旋回に葉先の丸い葉文を、挿図3南倉70円鏡平螺鈿背第2號部分內(nèi)區(qū)には2種の花文を配置する。外區(qū)と內(nèi)區(qū)は琥珀を花芯に嵌めた並列花文で分ける。內(nèi)區(qū)の上下、左右に埋められている楕円形でリング狀の部分には瑁を使用している

4、。外區(qū)は天地に大きな複合花文を置き、鴛鴦や花に囲まれた獅子と犀の文様を、左右対稱に配置する。これらの文様に使用されている貝はあまり大きくない良質(zhì)の夜光貝で、一番大きな右側(cè)の獅子の胴體は3.7×1.8の1枚の貝で、花芯に使用している琥珀も小ぶりなものである。獅子と犀の外周を連続花文で表し、外縁との間地には、他の挿図4南倉70円鏡平螺鈿背第5號部分より細(xì)かいトルコ石をちりばめている(挿図5)。毛彫は流麗で練達した線彫である。獅子と雲(yún)文、上下の花文などの毛彫線には黒色顔料が埋められていない所がある。螺鈿文様の輪郭は丁寧に組み合わせられているものの、花に乗る鴛鴦と花文を組み合わせている部分で

5、は隙間の見られる所がある(挿図6)。挿図5同部分挿図6同部分(3)北倉42円鏡平螺鈿背第5號(挿図7)この鏡は鎌倉時代に盜難に遭い破損したが、その後回収されたものの、修理不能で現(xiàn)在14個の破片がそのまま殘されている。それだけに鏡胎の形、素材、技法について多くの情報を提供してくれる。鏡胎の厚みは中央になるほど薄く、5~6程度で、外縁部に近づくほど厚みを(2)挿図8同破片増し、8の厚さがある。胎には螺鈿を貼る際の割付と思われる同心円狀と放射狀の墨線が認(rèn)められる。螺鈿文様の剝落の痕跡も明ら挿図7北倉42円鏡平螺鈿背第5號かである。貝の剝落した痕には鏡胎側(cè)に膠に似た茶褐色で光沢のある付著物が

6、認(rèn)められる。花芯に玉が嵌められていた痕には、伏彩色に用いられた塩基性塩化銅が付著している。葉の形の貝2個と、間地にちりばめられたトルコ石およびラピスラズリの砕石および黃銅粉が、間地に用いたわずかな樹脂と共に外縁の際に付著して殘っている。貝の厚さは均一ではないが、1程度で貝の外殻側(cè)を表にして使い、毛彫內(nèi)には黒色顔料が埋められている(挿図8)。(4)北倉42円鏡平螺鈿背第11號(挿図9)破損は殆ど無く、良く舊態(tài)を殘している。螺鈿文様の構(gòu)成は、鈕に施した五弁花文を中心として、周囲に正方形をかたどるように花文を配する。連珠文外側(cè)の四方に配した楕円形で甲盛のある琥珀は、周囲を銀の覆輪で囲まれてい

7、る。この內(nèi)の1個のみが舊物で、他は明治期に新補されたものである。大きな花文にはこれに止まる四羽の小禽を配する。それぞれの花芯には大小の琥珀を埋める。平螺鈿背鏡の內(nèi)で最も優(yōu)れ挿図9北倉42円鏡平螺鈿背第11號た文様構(gòu)成で、華やかな中にも品格と寫実性を備えている。最も大きな內(nèi)區(qū)の花文は、4.0×2.3の1枚の貝である。何れも良質(zhì)の夜光貝で、強い輝きを放つ螺肋の部分も使用されている。文様の輪郭も丁寧に切られていて隙間は少ない?;ㄎ膜酥?/p>

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